ラグジュアリー業界主要ニュースまとめ
世界全体の市場動向
2025年上半期、ラグジュアリー市場に冷たい風
2025年上半期、世界のラグジュアリー市場はちょっとした試練に直面しています。パンデミック後の反動で盛り上がっていた需要が一息つき、さらに価格高騰が重なり、「嵐」のような状況になっているのです。
中国での買い物熱が一服
これまで成長を引っ張ってきた中国市場にブレーキがかかっています。富裕層の消費が鈍り、LVMHの副CEOも「ここ3か月ほど、中国人顧客の海外旅行や現地での買い物が減っている」と語りました。実際、LVMHのアジア(中国を含む)での売上は、2025年1〜3月期に前年同期比で11%も落ち込んでいます。
アメリカもパッとせず
アメリカ市場も明るい兆しは見えにくい状況です。高関税リスクやインフレの影響に加えて、値上げが続くことで若い世代やライト層の「ちょっと贅沢してみようかな」という気持ちが冷めつつあります。
株価も急降下
その結果、ラグジュアリーブランドの株価は2025年2月以降に大きく下がり、欧州の高級ブランド指数はおよそ25%も価値を失いました。

目次 世界の市場動向
1月31日:Diorのキム・ジョーンズがクリエイティブ・ディレクターを退任
3月27日:3月27日からCHNELが大幅値上げ
4月10日 :PRADAがVERSACEを買収!
4月15日:Hermèsの株式時価総額が一時LVMHを抜きフランス企業トップに
4月25日:Louis Vuittonが世界的に約3〜4%値上げを実施
5月29日:LVMH副CEOの発言が報じられ、「中国人顧客の海外旅行と支出が鈍化している」ことが明らかに
7月24日: LVMHが2025年上半期決算を発表し、約4%の減収・15%の営業減益と2009年以来の減収となった
7月27日: LVMHが「マーク ジェイコブス」売却を検討との報道
7月29日: Keringが経営トップ人事を刷新すると発表
7月30日: 高級メンズブランドのエルメネジルド ゼニアが、自社株10%相当をシンガポール政府系ファンドテマセクに売却する契約を締結
1月31日:Diorのキム・ジョーンズがクリエイティブ・ディレクターを退任
バレンシアガ騒動に続き、ラグジュアリーブランドでトップデザイナー交代が相次ぐ象徴的な出来事に。
業界再編の波が止まらない。
3月27日:3月27日からCHNELが大幅値上げ
クラシックバッグは最低170万円超え、平均7〜10%アップ。
都内では駆け込み購入が殺到。
“憧れバッグ”はますます遠い存在に…
4月10日 :PRADAがVERSACEを買収!
買収額は負債込み13億7,500万ドル(約1,800億円)。
2018年に米カプリ社が取得したヴェルサーチェを、ついにイタリア本拠のプラダが取り戻す形に。
イタリア発の新ラグジュアリー帝国が動き出す。
4月15日:Hermèsの株式時価総額が一時LVMHを抜きフランス企業トップに
株価は前年から約2倍の急伸。
一方で伸び悩むLVMHとの対比が、ラグジュアリー業界の明暗を象徴。
4月25日:Louis Vuittonが世界的に約3〜4%値上げを実施
米国平均+3.6%、日本+3%前後。
背景には米国の追加関税リスク&恒例の値上げサイクル。
同時期にエルメスも米国値上げを発表し、ラグジュアリー価格改定ショックが拡大中。
5月29日:LVMH副CEOの発言が報じられ、「中国人顧客の海外旅行と支出が鈍化している」ことが明らかに
LVMHが投資家に対して中国需要低迷の継続を警告していたことも伝えられ、同社アジア売上11%減少と合わせて中国消費減速が業界に与える重しがクローズアップ。
7月24日: LVMHが2025年上半期決算を発表し、約4%の減収・15%の営業減益と2009年以来の減収となった
特に日本市場売上が4-6月期に–28%と急落したことや、米国・中国での需要減退が指摘されました。世界景気や地政学リスクによる逆風下でLVMHの成長神話に陰りとの見方も生じ、発表翌日の株価は下落。
7月27日: LVMHが「マーク ジェイコブス」売却を検討との報道
既に複数の買収候補(Authentic Brands GroupやWHP等米ライセンス企業)と交渉中で、想定売却額は約10億ドル。7月24日のLVMH決算発表でCFOが示唆した「当社にとって適切でないブランドは保有しない」との方針に沿う動きであり、2010年代から続くブランドポートフォリオ整理の一環として業界を驚かせた。
7月29日: Keringが経営トップ人事を刷新すると発表
創業家のピノー氏が会長専任となり、新CEOにルカ・デ・メオ氏(前ルノーCEO)が9月就任予定。グッチの不振など深刻な業績悪化(上期売上–15%)を受けた改革で、同社史上初の外部からのCEO招聘として注目。同日発表の上期決算では純利益–46%という厳しい数字も明らかになり、新経営体制での立て直しに市場の関心が集まった。
7月30日: 高級メンズブランドのエルメネジルド ゼニアが、自社株10%相当をシンガポール政府系ファンドテマセクに売却する契約を締結。
取引額は約1億2,640万ドルで、ゼニアは調達資金をアジア市場拡充に投資予定。テマセクは既存保有分含めゼニア株10%を持つ筆頭株主の一角となり、アジア資本と伊ブランドの協業強化の動きとして話題。
以上、2025年上半期の主要ニュースまとめです。