こんにちは、リレイティブの宮之内です。
いつもブログをお読みいただき、ありがとうございます。
私は落語好きで、通勤電車の中では、落語を聞いています。
落語好きが集まる会で、日頃の稽古を披露する小さな発表会形式の落語会を開いていたこともあります。

今年も、あと少しで年末になりますが、
年末が近くなると聴きたくなる古典落語があります。
「芝浜」です。
この「芝浜」、町で評判の魚屋・魚熊(うおくま)の噺。
熊さんのところの魚を食べたら、
ほかの店の魚は食べられないと言われるほど腕のいい魚屋です。
ただし、熊さんは大の酒好き。――三度のめしより、お酒が大好き。
夢か現実か、男を変えた女房の機転
魚屋は朝が早い。
朝早くから芝の浜に魚河岸があり、そこで仕入れて売り歩き、
昼めし時になればめし屋に飛び込む。
本来ならすぐ食べればいいものの、お酒好きはそうもいかない。
めしの前に一杯。
それが二杯、三杯と増えていくうちに、
外に置いてある魚はお天道様に当たり、鮮度が落ちてしまう。
お酒を飲む前の熊さんなら決して売らなかった魚です。
しかし、酔いが回ると人は変わってしまう。
鮮度が落ちた魚を売るうちに、評判は次第に悪くなり、
お客も離れ、やがて熊さんは仕事に行かなくなってしまいます。
この噺の最大の仕掛けは「おくさん」
物語は、大晦日。
魚河岸へ行った熊さんが「50両」という大金を拾ったところから、
夢と現実が入れ替わるように進んでいきます。
この噺の面白さは、「お金」そのものではなく、
“お金をきっかけに人がどう変わるか”。
そして “その後、どう生き方を変えるか” が丁寧に描かれているところにあります。
人はなぜ「楽して得たお金」に弱いのか
熊さんの最初の発想はこうです。
「せっかく神様がくれたんだから、遊んで暮らそう」
人はみな弱いですね。
熊さんは仲間を集めて宴会を開き、
一晩中「めでたい、めでたい」と呑み明かします。
その間に、おくさんは拾った50両を御上(おかみ)に届け、
熊さんには「全部夢だった」と言い切るのです。
そこからの熊さんの変化
おくさんの説明で夢だったと知り、
熊さんはショックで本気で酒をやめ、仕事に向き合います。
おくさんも熊さんをよく理解し、仕事道具をすべて整え、背中を押して送り出す。
とてもよくできたおくさんです。
もともと腕の立つ魚屋。
お客は戻り、店は忙しくなり、毎日を無我夢中で働き続けます。
そして3年が経った大晦日――。
おくさんは50両の入った財布を見せ、当時の思いを静かに語り出します。
古今亭志ん朝による「芝浜」
3代目古今亭志ん朝の「芝浜」は、この夫婦の心の機微を、
まくらから一気に引き込む名演です。
「芝浜」を聴くたびに感じるのは、
人がもう一度ハイパフォーマンスを取り戻すのは、環境や才能ではなく、
“自分で覚悟を決めた瞬間”から始まる ということです。
行動変容は外部からの強制では持続しません。
本人の意思決定(Self-Determination) が生まれたとき、
人は何度でも立て直せる。
「芝浜」は、
“覚悟が決まった人は、何度でもリカバリーし、また輝ける”
という普遍的な人材開発のメカニズムを教えてくれます。
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